■もやもや病とは

もやもや病(ウィリス動脈輪閉塞症)は、内頚動脈終末部や中大脳動脈起始部における進行性狭窄・閉塞を特徴とする脳血管疾患です。これに伴い側副血行路(もやもや血管)が形成されるものの血流は不安定であり、脳虚血発作や脳梗塞、さらには脳内出血を引き起こす危険性があります。臨床症状としては、反復する一過性脳虚血発作(TIA)、片麻痺、感覚障害、構音障害、頭痛、さらには高次脳機能障害がみられることがあります。

■もやもや病に対する訪問マッサージの施術について

訪問マッサージでは、脳虚血や脳梗塞後に生じた運動麻痺・痙縮・廃用症候群に対して、リハビリテーション補助的役割を担います。具体的には、筋緊張の亢進に対する抑制的手技、関節可動域訓練(ROM exercise)、循環促進を目的とした軽度の軟部組織マニピュレーションを行います。また、長期臥位に伴う深部静脈血栓症(DVT)や浮腫のリスク軽減を図りつつ、ADL(日常生活動作)維持およびQOL改善を目指します。施術は循環動態に配慮し、過度の血圧変動や脳血流負荷を回避しながら、適切な頻度と強度で継続的に実施します。

■実際の症例

神戸市灘区 M様(70代・女性)

既往歴:もやもや病に起因する脳梗塞

後遺症:右上下肢の軽度麻痺・筋緊張亢進・歩行不安定

施術経過:週2回の訪問マッサージにて下肢のストレッチングおよびROM訓練を中心に実施。併せて下肢静脈還流を促進するための軽度循環アプローチを継続。3か月の施術経過により、歩行時のバランス能力向上と関節拘縮の進行予防が確認され、ADLの維持に寄与。

■ご利用者様の声

「右足の動かしにくさが少しずつ軽減し、歩行が安定してきました。自宅で継続的に施術を受けられることで、安心して生活を送れています。」(ご家族様談)