■ 肩腱板損傷とは
肩腱板(けんばん)とは、肩の関節を安定させるために肩甲骨と上腕骨をつなぐ4つの筋肉と腱の総称です。
その中でも特に損傷が起こりやすいのが「棘上筋(きょくじょうきん)」という筋肉で、転倒やスポーツ、または加齢による変性などで断裂や炎症が起こります。
肩腱板を損傷すると、次のような症状が見られます:
腕を上げると強い痛みがある
夜間痛(寝ている間の痛み)で眠れない
動かすと「引っかかり」や「音」がする
可動域が制限され、服の着脱や洗髪が困難になる
手術が必要な場合もありますが、保存療法(リハビリやマッサージ)で改善する例も多くあります。
■肩腱板損傷に対する訪問マッサージの施術について
保存療法中は無理な可動域訓練は避け、痛みの軽減と周囲筋の柔軟性回復を目的に施術をおこないます。
施術内容:
肩甲帯周辺の筋肉(僧帽筋・肩甲挙筋・三角筋)の筋緊張の緩和
肩関節周囲の関節モビライゼーション(軽度の関節可動法)
温罨法(ホットパックなど)による血行促進
日常生活動作に必要な腕の挙上動作や回旋動作の補助訓練を段階的に実施
■実際の症例
神戸市東灘区 O様 (90代・女性)
数年前から腕に力が入らなくなり、夜寝ているあいだも強い痛みが生じる状態となりました。整形外科で両肩腱板損傷と診断され、左肩腱板には数か所の断裂がある、とのことでした。手術を勧められましたが、年齢的なことや同居するご主人のこともあり、踏み切れないでいました。
訪問マッサージを受けるようになってすぐ、腕に力が入るようになり、夜間の痛みも軽減されるようになってきました。それまで日常生活では包丁を使うことも難しくなっていましたが、徐々にできることが増えていき、以前と同じような生活に戻ることができました。今でも運動量が増えると痛みが出ますが、回復が早くなったとのことです。
損傷した腱板は修復されるまでに時間を要しますが、関節の位置を本来の正しい位置に戻したうえで血流を促進させることで、改善までの過程をスムーズにすることができます。また、肩の痛みと言っても身体全体の骨格のゆがみから肩関節に負担がかかって生じていることがほとんどですので、全身を整えることも大切です。
