■脊髄小脳変性症とは

脊髄小脳変性症(SCD:Spinocerebellar Degeneration)は、小脳や脊髄が徐々に障害を受ける進行性の神経疾患です。

小脳は身体のバランスや動きの調整を担っており、脊髄は運動や感覚の情報を伝える重要な通路です。

この病気では主に以下のような症状がみられます。

  • ふらつき歩行(酔ったような歩き方)
  • 手足のふるえ・不器用さ
  • 筋肉のこわばり・痙縮(けいしゅく)
  • 発話や飲み込みの障害
  • 疲れやすさや体力の低下

現時点で根本的な治療法はなく、進行を緩やかにするためにリハビリや訪問マッサージなどの補助的なケアが重要になります。

■脊髄小脳変性症に対する訪問マッサージの施術について

【施術の目的】

  • 筋緊張の緩和と血行促進
  • 関節拘縮の予防
  • バランス保持能力の維持
  • 精神的リラクゼーション

【施術内容】

  • 下肢・体幹部のマッサージによる筋緊張の緩和
  • 関節可動域訓練(ROM訓練):膝・股関節など動きが悪くならないようにケア
  • 座位・立位保持練習の補助:体幹のバランス感覚を保つための支援
  • 自律神経へのアプローチ:リラックスを促すための背部への軽いマッサージ
  • ご家族への簡単な介助指導やホームケアのアドバイス

■実際の症例

神戸市灘区 K様(60代・男性)

主訴:歩行時のふらつきと全身のこわばり(要介護1)

施術開始当初は、立ち上がりや歩行時にかなりのふらつきがあり、日常生活でも介助が必要でしたが、週2回の施術を継続したことで以下のような変化が見られました。

  • 下肢の筋緊張がやわらぎ、足の運びがスムーズに。
  • 起立時の安定性が向上し、トイレ動作が自立できるように。
  • 表情や会話が明るくなり、QOL(生活の質)に良い変化が見られるように。
  • ご家族の介護負担もやや軽減。

「歩くのが怖くて気持ちも沈んでいたけど、先生が丁寧にマッサージしてくれて、身体が軽くなりました。前よりも転ばずに歩けるようになったのが嬉しいです。家族も安心しています。」(本人談)

脊髄小脳変性症のような進行性の神経疾患では、継続的な身体のケアと精神的な支援が非常に大切です。

訪問マッサージでは、病気の進行に合わせて無理なく、できる限りの「その人らしい生活」を支えることを目指しています。

ご本人・ご家族と協力しながら、安心して生活できるよう今後もサポートしてまいります。